2011/05/08

手塚愛子 展 透明な果実

●みえるのかみえないのか●

薄い皮膜を一枚ぺりっとはがしたような織物の作品。
実際には一本一本、根気よく糸を抜き取ったもの。
厳密に言えば、織物だった作品。

抜き出された糸をみると、意外な色糸が織り込まれていることに気付く。本当にこの色が含まれているのかと疑わしく思うのだが、対になったもう一方の布面に確かにその色を感じる。

鮮やかで一見派手な色。それが織り込まれると、全体でバランスがとれて落ち着いた色合いになる。縦糸、横糸、の譲り合いと調和。

織物を織るのにも膨大な時間がかかるけれど、それを解いていくのもまた然り。

その時間をかけて行っていることは、全てのものが内包している重さのない実に形を与えること、という。

糸を抜くという、マイナスすることからみえてくるもの。
織物の構造という物理的なものもそうだが、時間をかけることによるその間の思考だったり時間の流れそのものだったり。
そして、みえていなかったことへ意識を向けること。みえるようになるのかならないのか。
ドローイングでは明らかに形が描かれているのに。

数学では + × + は + 。- × - も + 。+ × - は - 。でもここでは + なのかも - なのかもあやふやだ。私にはうっすらみえたようだけれど、言葉にしようとすると消えてしまう。掴もうとしてもまだ上手く掴めない。

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手塚愛子 展 透明な果実
@ケンジタキギャラリー/東京
2011年3月11日(金)→5月14日(土)
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こっちもとても行きたい。織物と点描の並置混色。時代を超えた展覧会。
プリズム・ラグ 手塚愛子の糸、モネとシニャックの色 2011年3月17日(木)→6月12日(日)@アサヒビール大山崎山荘美術館

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