2011/03/07

曽根裕 雪、Perfect Moment

●曽根さんという人●

たぶん、曽根さんの作品をみるのは、初めてだったと思う。エルメスでの展示のリーフレットを読んで、なんて自在な人なんだろうと思った。魅力的で、筋の通った文章を書く人だなと思ったし、作品からも一貫した思いを感じた。


そしてオペラシティでの展示の中で《バースデイ・パーティ》をみながら、周囲の人が巻き込まれてしまうような力を持っていて、自身のためにも自由である人なんだろうなぁと感じた。だからきっと、工房で作るといった作品の作り方ができるんだろう。

———曽根さんに会ったことはないけれど、そんな作家像が浮かび上がってくるような展示でした。


●水晶と雪●

一瞬で消えてしまう雪の結晶を、ずっととどめておくための彫刻。自然の中で長い時間をかけて作られた水晶という素材の大きな塊の存在感に、雪の結晶の儚さを忘れてしまう作品たち。軽やかに宙を舞う雪のイメージはそこにはなく、半永久的な時間を与えられた結晶は、物理的な存在感を示していました。

これだけの数を彫るという、制作への執念というか、工房全体のエネルギーをも感じました。テキストの中で語られているエピソードの数々も、きっとこの存在感の中に集約されているのだろうな。


●緊張感とやさしさ●

水晶の作品にも、大理石の作品にも、共通して感じたのは、緊張感。制作過程で一歩間違えれば簡単にヒビが入ったり欠けてしまう素材。彫り進める過程の中の、職人さんの手先の緊張感が、みている私にまで伝わってくるようでした。

エルメスのテキストの中で、曽根さんが『作品完成時には、私はいつも、愛に満ちている。』と書いているのがとても印象的でした。そして、その感情が作品を通じて伝わってくるようで、展覧会の会場全体が、なんだかとっても優しい空気に包まれているようでした。

一つひとつの作品からは緊張感が漂っているのに、全体にはゆったりとした空気。きっと作品を制作している現場もこんな感じなのかなぁと思いました。真摯に打ち込むのだけれど、抜くところは抜いて楽しむ、というような、そんな価値観を感じました。なので、とっても心地が良い。


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曽根裕 雪
@メゾンエルメス
2010年12月10日(金)→2011年2月28日(月)
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曽根裕展 Perfect Moment
@東京オペラシティ アートギャラリー
2011年1月5日(土)→3月27日(日)
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