2011/10/18

イケムラレイコ うつりゆくもの

展示室の隅々まで、そこにある空気すべてが、イケムラレイコ。
優しく、ふわっとした、柔らかい印象はそのままに、その中に強く貫かれた制作への意志がある。

流動的な線や色彩。刻みの良い詩。

紅い木のドローイングは、まるで身体表現のような、モダンダンスのような。描かれているモティーフは木だけれど、その様子は踊り子の様。枝は腕、細い小枝は指先の動き。しなやかにしなる幹は柔らかいボディ。一列に並べて展示された画面をたどっていくと、木の動きに合わせて自然と身体が揺れ出す。

イケムラレイコの作品は、みているとゆっくりとフワフワと身体が動く。作品の前でじっと直立不動でいることは難しい。幾重にも重ねられた絵の具は柔らかく薄いけれど、作品そのものには、軽いとか浮遊感といったイメージはないのに。

遠くで聞こえる唄のように聞こえてくる蓮沼さんの鳴らし落としていったような音は、踊りの音。まるで、絵の具から鳴っているような感覚。

作品は目で見て、音は耳から聞こえてきているものなのに、皮膚の感覚や身体の中の感覚が蠢くのがわかる。滞っていた血の流れがほぐれて動き出す。

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イケムラレイコ うつりゆくもの
@東京国立近代美術館
2011年8月23日(火)→10月23日(日)
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