2012/06/12

ジョン・ウッド&ポール・ハリソン —オープン・スペース2012


オープン・スペース2012に展示されているジョン・ウッド&ポール・ハリソンの映像作品。
彼らの作品はある程度まとまった数をみると、その世界観がよくわかるように思います。何が起こるわけでもなく、乱暴に言ってしまえば、「で?」「ん?」という世界観。この空気感がとてつもなく、好きです、私。

今回出品されているのは、6タイトル。

《66.86m》
白い部屋の中に、数本のロープが張ってあります。よくみてみるとロープは動いていて、ところどころに黒いマーキングがあることに気付きます。約3分半我慢すればオチがあります。我慢という表現でいいんじゃなかろうか。できれば映像の頭からみて、この映像の長さを体験してほしい。ちなみにタイトルはロープの総長だそうです。

《扇風機/紙/扇風機》
タイトルそのまま、2台の扇風機と1枚の紙があります。回っている扇風機の間に紙を立てると...立つ!思いつきそうで思いつかなさそうなこと。誰も実際にはやらなさそうなことを、やってみる。発想を実践している作品。ただもうそれだけ。

《もう1km》
机の上に積み上げられた紙の山を、電動のヤスリで飛ばしていきます。その紙の長さ1km分。ときどきドサッと束でいくときに、あっ!失敗!と心の中で呟いてしまう作品。《1km》よりも手元がアップなので、紙の飛び方がよく見える。

《非現実的な登山家》
コントをみているような、雲も空もわざとらしさを感じる演出。手持ち無沙汰でもヤッホーとは言わないんだなぁ。おやつも食べないんだなぁ。そしたら雲の上の山頂では写真撮る以外にほんとにすることないよなぁ。

《月面で退屈している宇宙飛行士》
シーン毎にブラックアウトするその間に長い時間を感じます。月まで行って、さて何をしよう?「Head, shoulders, knees and toes♪」を心の中で歌うのは私だけではないはず。宇宙服のだぶつき感が、暇っぷりを助長しているように思えて可笑しい。モニタ前には『月面を歩くアポロ11号の宇宙飛行士』の写真が。これ絶対に狙ってるよね。

《10×10》
部屋の中で起きている、ちょっとおかしな出来事をエレベーターに乗って覗き見ているような気分になる。それぞれの部屋の住人(?)はこれといった特徴はないのに、ノーマルさに欠けていて、どこかで何か事件が起きそうな気がしてくるのだけど、残念ながら何も起きない。15分半ただただちょっと奇妙な習慣のような行動を目撃するだけ。


作家が言いたいことは何か?
何を表現しているのか?
アートに求められがちな目的を問われても、戸惑います。目の前の映像で起きていること、ただそれだけで、以上でも以下でもない。その中から、可笑しみをみつけるのも、実験を追うのも、受け手に委ねるところです。深くても深くなくても構わない。そんなスタンスでいていいのかなと思う。
登山家をみてゲラゲラ笑っていた人たちの鑑賞スタイルがよかったな。
私はただ時間を過ごすのにちょうど良かったりもする。

だから何?という、意味を持たないような映像だけど、そこがいいところだし、そこが彼らの表現なんじゃないかと思う。


----------
オープン・スペース2012
NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
2012年5月26日(土)→2013年3月3日(日)
----------