《10番目の感傷(点・線・面)》—オープン・スペース 2010 @ICC

ICCで今年度もOPEN SPACEが始まりました。今年は全体的にひとつにまとまった内容の展示になっています。サウンドあり、ヴィデオありのメディア・アートと言われて想像するタイプの作品が多いように思います。なので、好きな人はかなり好きかと思われます。私も、好き。

長期展示なので、小出しに。



●影のノスタルジー●

クワクボリョウタさんの《10番目の感傷(点・線・面)》は、どちらかと言えばアナログに感じる作品です。作品の構成はとても単純で、光源となるLEDが付いた列車と、列車が走るレール、それとレールの周囲に置かれた日用品の数々。(Nゲージの模型の列車が改造されていて、風景模型が日用品に置き換わっている、ってところ。)列車が走ることで、日用品の影を壁に映し出すという作品です。

約13分間、ただ列車が走り、次から次へと影を映し出していくのですが、その光景がとてもノスタルジック。小部屋全体に映し出される影によって、まるで実際に列車に乗っているかのような感覚に陥ります。遠くに見えていたものが近づいてきて、また遠ざかる。昔にどこかで実際に体験した思い出のように感じるのは、見えているものがリアルな映像ではなくて、薄暗い部屋の中の影のみだから。そしてその影も、実際の車窓とは無関係の日用品の影。自分の持っている記憶をたどって、いろんな思い出を重ね合わせて見るのだと思います。
10人いれば10通りの景色を見ているんだろうなあと思うと、他の人の見ている景色がどんな風景なのか、気になります。

洗濯バサミとか、ザルとか、セロテープとか、まさかそんなものの影にここまで想像を掻き立てられるとは、驚きです。その意外性がとても面白い。そしてそれぞれの形が美しい。

そんな幸せな気分に満ちたような感動を覚えた作品なのですが、タイトルが力が抜けててまた良いのです。そんなところに肩肘張らない雰囲気が漂っていて、さらに愛おしく感じられるのです。そういうところが、すごく、好き。

(「点・線・面」とはカンディンスキーの著作でもありますが、この作品でいうと、点→光源、線→動き(列車の軌道)、面→影の映像。そして「10番目の感傷」は、作品の雰囲気からひっぱっているようでもありますが、英語にすると"The Tenth Sentiment"。声に出してみると・・・)


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オープン・スペース2010
@NTTインターコミュニケーション・センター[ICC]
2011年2月27日(日)まで
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この展示が無料だなんて!っていうくらいの良い内容です。