L_B_S/名和晃平

● L …《PixCell_Saturation#2》●

『絶え間なく続く刺激は、ある飽和点を越えると、見ている者に対し麻酔のように作用する。』(リーフレットより)

青白く発光する水槽の中に、グリッド状に並んだ球体。たこ焼きのような、シャボン玉のような。次から次へと、膨らんでははじけ、はじけては膨らむ泡。
ひとつひとつの泡は、何かが映り込むかと思う間になくなってしまい、プクプクとただひたすらに同じことを繰り返す。


月の光のようなひんやりとした発光。
一定のリズムを刻む泡。

トロッとしているような、サラッとしているような、触れていないので実際はわからないけれど、きっと心地よいだろう感触の液体。

あっという間に飽和点まで達してしまった私は、その麻酔にかかり、しばらく座り込んで眺めていました。
眺めるというより、もはや、瞑想。

だんだん陽が暮れていき、ガラスの向こうにはボンヤリとネオンが光りだす頃、より一層青白さが浮かび上がり美しさが増しました。
きっと疲れた日の終わりに眺めていたくなるような、クールダウンと一日の反芻ができそうな、寝室に置いておきたい作品。
(寝室に置いておきたい、で思い出しました。こんなのありました。名和さんの作品とはイメージ違うけれど。)


● B …《PixCell_Elk#2》●

私が今まで見た中で、一番大きなBEADSの作品。ぼそっと「でかい。」と一言つぶやいてみました。鹿を覆っているビーズ自体も大きい。ビーズというより、いろんなものを映し出す水晶のよう。

ビーズには鹿の毛皮と一緒に、部屋の内部も映り込み、外も内も入り交じっていました。

リーフレットのテキストは、『光の殻』『イメージの要素の集まり』『PixCell(映像の細胞)』と、少し抽象的で何度読んでも頭の中にイメージができないのだけれど、作品を見ればすべて頭に入ってくるような、百聞は一見にしかず、な感じ。

クリアなビーズは光を通して綺麗だし、自然の造形である鹿のフォルムは美しいし、見ていて気持ちが良く、かつ、作品のコンセプトもすんなりと頭に入ってくると、こういう作品が好きなんだなぁとあらためて思います。


● S …《Villus》●

一瞬、仏様の来迎かと思いました。十一面観音像を最後尾に、ずらっと並んだオブジェクトたち。

ポリウレタンのモコモコに覆われて、もとの形があやふやになっているのにもかかわらず、それが何なのか判別できるのは、そのイメージがしっかりと頭の中に焼き付いているからでしょうか。マリオもジョウロもミッキーも。羊はモコモコしていても、元の羊のままのような気がしなくもないですが。

小さな子どもがみたら、「雲の国」と言いそうな、そんなモコモコのパレード。


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L_B_S/名和晃平
@メゾンエルメス
2009年9月23日(水)まで
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