MOTアニュアル2010:装飾

●アートと装飾について●

仮に、アーティスト側は全く意識をしていなくても、作品は“装飾”という一面を持っているものだと私は思います。
というのも、個人のレベルの感覚では、作品を購入するということ(ないしは借用するでもいいけれど、要は手元に置いておくということ)は、作品をどこかへ展示するということであって、それはまさに空間(リビングとか応接間とか・・・)を装飾していることであると思うのです。アートを身近にしようとすればするだけ、装飾的要素を意識することになるのではなかろうか。インテリア感覚に似たもの、もしくはインテリアそのものかもしれません。

最近、作品を見るときに、欲しいかどうか、とか、家の中のどこに飾れるか、とか、そういう視点から眺める事があります。そんなとき、まさに装飾的にアートを見ているわけです。
もちろん、作品が持つアーティストの内面的な部分にも目を向けるけれど、自分との関係になったときには、割と外観を重視するような見方をしてしまいます。

そんなことを思うと、今年のMOTアニュアルはとてもストレートで見やすい展覧会だと思います。
リーフレットのアーティストの言葉には、作品と向き合うためのヒントがちりばめられ、その文面もきちんとテーマである“装飾”に向かっていました。割と素直に“装飾”を捉えているので、ほんと難しくない。

作品も、すべて、美しさを持っているものばかり(美しさのない装飾もそれはそれで面白いと思うけれど)。きれいな展覧会でした。

装飾×現代アーティストという明確なテーマによって会場全体がしっかりとまとめられていて、なんだかお手本のような展覧会です。きちんと構成すればちゃんとできる、というような。アルスエレクトロニカ展のぐだぐだした感じととても対照的。


●アートとの境目●

作品についてひとつ。
会場入り口、エントランスロビーからもガラス越しに見える黒田潔《森の目》。装飾という一面から考えると、ファブリックや食器でこういう雰囲気のものをよく見るけれど、はて、アートとそういった商品の柄との境界はどこにあるのだろう?と考えてしまいました。
きっとそれは、アーティストの内面に潜むものだったり、一筆一筆の作業だったり、場の問題だったり、そういったところなのだろうけれど、あらためてアートの綱渡り感を感じました。その危うさ、際どさが何とも言えない心地よさを生み出したり、美しさを際立たせたりするのだと思いますが。
そんな、ちょっと振り返るような気分になったのも、久々でした。


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MOTアニュアル2010:装飾
@東京都現代美術館
2010年4月11日(日)まで
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